vol.08 – Takuto Enomoto / Milan

独立して、いつか父とミラノで一緒に働きたい

Imhereがお届けする、海外で暮らす気になるあの人。vol.08は、イタリア・ミラノのヘアサロンでヘアスタイリストとして働くTAKUTO ENOMOTOさん。仕事終わりのビールが欠かせないというTAKUTOさんと、アペリティーボがてらバールで小話。それでは、ボナペティート!

 

なぜイタリアに?

もともとは父が経営する美容室を継ぐためです。父が美容師ということもあり、高校に通いながら美容学校の通信教育を受けていたので、17歳の頃から美容師という職業に携わっていました。そして、二十歳の時に免許を取得したと同時に、父から「叔父の美容室(アメリカ・シカゴ)で働かないか?」と提案を受けました。でも、すでに都内の美容室に勤務していたし、渋谷(実家)での生活が楽しくて断りました。それから数年後、今度は「イタリアで働いてみないか?」と父から再度提案を受けました。今働いているミラノの美容室8(otto)のオーナーが人を探しているということで、僕に声がかかったんです。父としては、これからもっとグローバルな社会になっていくので、僕に海外で経験を積んで欲しいという思いがあったそうです。

夏休み、冬休みはヨーロッパ内を旅行してます。ここはハンガリーのブダペスト。

 

なるほど、ではお父様からその話をもらってすぐにイタリアへ?

いいえ、26歳ぐらいの時にイタリア行きの話があり、実際に来たのは29歳です。日本での安定した生活があったので3年間考えました。美容師を始めたのが早かったので、当時でも十分稼げていたし、この先もいいポジションに就けるという安定した将来が見えていたんです。美容師は1年でも不在になるとお客様が離れてしまうので、今まで築き上げてきた信頼を失うのも、帰国してまたゼロからのスタートになるのも不安でした。東京での生活が充実し、安定していたからこそ3年間悩みまくりましたね。

 

それでも決断できたのは?

実は、父からイタリア行きを打診された頃、「いつか父と一緒に働きたい、父の美容室を継ぎたい」と思うようになっていました。その思いを父に打ち明けたところ、「海外で経験を積んでから一緒に働こう」と言われました。だから当時は父に、「3年後、イタリアから帰国したら継ぎます」と宣言して来たのですが、居心地が良すぎて6年経った今でもミラノです(笑)。もちろん当時は父も喜んでくれましたし、今でも喜んでくれています。

 

美容師になったのはお父様の影響?

高校生の頃はやりたいことがなかったんです。何か目標があって大学へ行くならいいけど、目標がなくただ大学へ進学するのも嫌だったんです。お金だけかかって……。悩んだ末、美容一家ということもあり両親の希望だった美容師をやってみようと思いました。だから、正直なりたい職業だったわけではないです。ただ、やったことがないことを毛嫌いするより、やってから決めようという気持ちで始めました。そしたらだんだん面白くなってきて。

 

 

どんなところに面白みを感じられました?

技術職なので、うまくなるのが目に見えてわかるんです。カラーもブローも、やればやったぶんだけ成長したのがわかるんですよ。

 

渡伊するうえで大変だったことはありますか?

特になかったと思います。最終的に決めたのはイタリアへ来る半年前ぐらいです。最初は学生ビザだったので学校へ通いながら働かせてもらっていました。そして、今後も続けていけそうだったので就労ビザに切り替えました。

 

続けられた理由は?

初めは3年間という期間を決めていましたが、実際3年間働いて帰国しても中途半端になると思い始めました。ここで何も達成することができないなら、今後プラスにもならないと思い、今も続けています。

ottoにて仕事中。

 

日本で美容師をすることと、イタリアで美容師をすることの違いは?

・・・言葉・・・ですね(笑)!日本語が話せない方と接する確率は圧倒的に違いますから。美容師にとって言葉はやっぱり大事ですよね。

 

技術面では?

髪質が違っていてもそこまで大変ではないです。日本人でも西洋人に似ている髪質の人もいるので。日本できちんと技術を持っていれば、美容師として海外で働くのに困ることはないと思います。

 

毎回ロシアからわざわざ来てくれるモデルさん。

 

今後、イタリアでの目標はありますか?

いずれは独立してミラノでお店(美容室)を出したいです。きっとこの先ずっとイタリアに住むと思うし、徐々にお客さんも増えて、日本で働いていた頃の安定した生活に戻れた気がしています。そして何より、父がイタリアへ移住して働きたいと言ってくれているんです。父は外国人大好きなので(笑)。だから、僕がミラノでお店を出して、父を呼び寄せて一緒に働くのもいいですよね。父はもともと海外で働きたかった人なので、その夢を叶えるための親孝行ができたらと思っています。

ottoのスタッフと。右はBOSSのKOICHIさん。

 

ミラノ在住6年目ですが、最近面白いエピソードはありましたか?

おととい、初めてスリにあいました。それでちょっとイタリアを嫌いになりましたね(笑)。ストレス溜めないタイプなので1日寝ればスッキリですが。

 

えっ?

僕、スマホにイヤホンを繋げて音楽を聴きているんですが、駅の階段を上がっていたら音楽がパッと途絶えたんです。接触不良かと思ったらスマホの本体がなくて。急いで後ろを振り返ると、不審な男と目があったと同時に、隣をスッと通り過ぎた男がいて、怪しかったので話かけたんです。彼は明らかに様子がおかしく、失礼かと思いましたが、許可をもらってチェックさせてもらいましたが、ありませんでした。やられましたね。音楽を聴く専用で、電話としては機能していないスマホを取られたのが不幸中の幸いでした。

 

大変でしたね。

使っていないスマホとは言え、自分のものを取られるってショックですよね。本当に油断しちゃダメだなーと改めて思いました。その日は1日中何も食べられないぐらい忙しくて、仕事終わってちょっとボーッとしていたんだと思います。

大変なこともありましたが、ミラノの好きなとこは?春から夏のサマータイムに変わる瞬間ですね(笑)。サマータイムになった瞬間から格段とビールが美味く感じるんですよ。これはもうリアルに感じますね!サマータイムが始まって9月ぐらいまでは夜10時前まで明るいので、仕事が終わった後の疲れ方も違いますし。いいですよね〜、サマータイム。

 

夏の仕事終わり。サマータイムは仕事終わりでもまだ明るくビールが美味い!!

 

【PROFILE】

TAKUTO ENOMOTO >>> INSTAGRAM

 ヘアサロンOTTO   >>> OTTO

ヘアスタイリスト。東京都出身。都内のサロンにて12年間勤務。2015年6月渡伊、日本人の経営するミラノの美容室8(otto)にて勤務。サロン業務はもちろん、ファッションシューティングのヘアメイクも手がける。

 

MEDIA INFORMATION

>>Im here magazine

2020年、ニューヨーク、ハワイ、イタリア、それぞれの場所を拠点に生活する3人の女性が立ち上げたウェブマガジン。現地のライフスタイルはもちろん、世界各国へ移住した人たちにフォーカスした「気になるあの人」のパーソナルなライフスタイル情報をインタビューを通して自分たちの目線でお届けしています。

タグ: