vol.014 – SHIMPEI TAKASHIMA / DUBLIN_IRELAND

アイルランドで新しい世界が広がって、出会った人のご縁で繋がって、今がある

Imhereがお届けする、海外で暮らす気になるあの人。今年も残すところあと少しですね、皆さんいかがお過ごしですか? 2022年の締めくくりとなる、14人目の気になるあの人は、アイルランドの語学学校で働くSHIMPEI TAKASHIMAさん。アイルランドへ移住したきっかけや、そこで過ごした8年間、さらにこれからの新たな挑戦など、エネルギッシュでエモーショナルなストーリーを話して頂きました。

 

「アイルランドに到着して2カ月後に語学学校で働くことに」

 

アイルランドに住んで8年と聞きました。移住のきっかけは何ですか?

ずっと「海外に住んでみたい、海外へ行きたい」という思いはありました。そんな中、日本で就職しましたが、自分は社会人に向いていないと思う時期があったんです。「いつかは海外へ」と思いつつも、なかなか踏ん切りがつかず会社を辞められずにいました。

そして、ちょっと中二病みたいなことを言いますけど、27歳って世界の有名なロックスターたちが亡くなっている歳でもあるんですよね。だから、27歳が人生の節目だと思い、その後、生きるか死ぬかの選択肢で、生きる道を選ぶからには人生を変えようと思い、27歳で会社を辞めました。そして、本当はそのまま27歳で海外へ行こうと思っていたのですが、ずれ込んで29歳でアイルランドへ。

 

なるほど、そんな思いがあったんですね。

というのも当時、VISAのことなんてよくわかっていなくて、ただコーヒーが好きだったので、カフェ文化が進んでいるニューヨークへ行ってカフェで働き、そのままニューヨークで暮らす〜なんていう理想を思い描いていました。が、現地で「観光VISAの僕は働けない」ことを知ったんです。そこから、ワーキングホリデーという制度があることを知り、当時はほぼ情報がゼロだったアイルランドが面白そうだと思い、決めました。

 

ということは初めの1年間はワーホリだったんですね。

そうです、1年間のワーホリなんですが、到着して最初の2カ月ぐらいで今の学校の仕事を見つけることができたんです。

 

えっ、たった2ヶ月で? すごい!!

自分でもすごいと思います(笑)! ラッキーでしたね。初めはカフェで働くことしか考えてなかったんですが、友達が欲しかったのでまずは語学学校で勉強することにしたんです。

そして、ひょんなことからそこで知りあった語学学校に勤務する人の家にシェアさせてもらうことになり、ある日その人から日本人留学生を増やすためにどうするべきか相談を受け、アドバイスをしていたんです。そしてその夜、ベッドに入った瞬間に雷が落ちたみたいに、日本人がたくさんアイルランドに留学している絵が見えて……。これは今でも忘れられないですね(笑)。その夜は興奮して眠れず、そのままアイルランド中の語学学校50校ぐらいにメールを送りました。

 

観光地としても有名なダブリンの飲み屋街「テンプルバー」。

 

それはすごい、鳥肌立ちそうです!

当時、アイルランドでは日本人の留学生が少なかったので、日本人の僕を雇うなんてナンセンスだったと思う。でも3校から返事をもらい、最後の面接に行った語学学校で、社長にその場で「採用!」と言ってもらえて働くことになりました。後から知りましたが、社長に「直感でお前を雇わんといかんような気がした」と言われました。本当、縁ってあるんすね〜、不思議な話です。

 

すごい!! ということは英語のレベルも心配ないぐらいだったんですね?

いや、全然でした。日本では仕事の行き帰りに英語教材を聞いたりしてましたけど、語学学校に入った時は下から2番目のクラス。自分でももうちょっと上かと思ってましたけど全然でしたね(笑)。なので、「絶対に英語力上げることを約束します、もし英語力が上がらなかったら首にしてくださ」と書いたCVを持って面接に行きました。ただ、採用してもらってからは、3カ月間猶予をもらい、語学学校で猛勉強。このおかげで英語力はかなり伸びたと思います。

 

なんてたくましい! なんだか海外移住を考えている人に夢を与えてくれる話ですね。アイルランドってどんな街?

北海道ぐらいの大きさで、よく間違われますけどイギリスじゃないです。公用語は英語ですが、昔アイルランド語が話されていたので、標識などは、まだアイルランド語で書かれたものが残っています。中でも首都のダブリンは、FACEBOOKやgoogleなどIT企業のヨーロッパ本社があるので、IT系のビジネスパーソンが集まっていて、それに伴って景気も治安も良くなっていると思います。簡単に言うと、勢いがあって、若い子が多い、元気な国ですね。あとはパブ。

 

アイリッシュパブ!

そうそう、それの本拠地ですよね。ギネスビールが有名で、アイルランドで飲むギネスビールは他の国で飲むより美味しいっすね〜(笑)。

コロナ以降、テラス席が増えた飲み屋街。ダブリンではみんな昼間からギネスを飲みます。

 

海外で暮らすことに対して不安はなかった?

ありまくりましたね(笑)。アイルランドに着いた頃ホステルに住んでいたんです。そして隣のベッドにいたスペイン人のALEXとめちゃめちゃ仲良くなったんですが、彼がその1ヶ月後に帰国することになり、大の大人なのに号泣。その時になって初めて自分は不安なんだ、と気づきました。

 

8年間も住んでるということは、きっとアイルランドが住み心地が良いってことですよね、移住してよかったと思う時はどんな時?

ふとした瞬間に思いますね。例えば、パブで酔っ払った人たちが楽しそうに音楽を聴いている姿を見たりとか。旅行してここでしか見ることができない景色を見た時とか。

 

「アイルランドへ行って新しい世界が広がって、出会った人のご縁で繋がって、今がある」

 

学校の生徒さんたちと飲みに出かけることも。

 

日本からアイルランドに移住して変わったことは?

色々ありますけど、一番は感謝できるようになったこと。というのも全くゼロの状態で、アイルランドへ行ったことで新しい世界が広がって、そこで出会った人のご縁で、繋がり、今がある・・・。涙もろいですが、それを思い出すと泣きそうになります。会社の飲み会や友達と飲んだ帰り道とかにふと思い出して感動して泣いちゃいますね(笑)。

 

語学学校での仕事も気になります。どんなことをしていますか?

日本人スタッフは僕だけなので、日本人留学生の対応をしたり、最近だと団体の中学生や高校生のための留学プログラムを作ったりしています。当時は、日本人留学生の集め方などの教科書がなかったので、すべて手探りで思いつくことは全部やりましたね。例えば、SNSやブログを作ったり、日本人にアイルランドを知ってもらおうと日本各地を回って営業したり。

 

手探りでやるのはかなり根気がいりますね、日本とアイルランドの仕事で大きな違いは?

アイルランドでは、「仕事が人生!」みたいな人ってすごく少ないので、仕事を人生の中の一部としてしか考えていない。その中で僕は責任感が強すぎるところがあるので、その荷を下ろしてくれる時があり楽ですね。悪く言うと緩いってことになるんですが(笑)。日本人とアイルランド人の両方と仕事をしているとスイッチの切り替えが大変です(笑)。

 

同僚の英語の先生と。

 

8年間でアイルランドの日本人留学生事情は変わった?

そうですね、当時ワーキングホリデーの定員が400名のうち、年間の応募人数が200名ぐらいだったんですよ。僕の中でこの枠を増やすことを一つの目標に頑張っていたんですが、2019年に定員が800人に増えました。もちろん僕一人の力ではないですが、貢献できたんじゃないかと感じています。

 

数字に表れるのはすごい!! 働いている語学学校はどんな学校?

Atlas Language Schoolという学校で、ダブリンに1校と、マルタに1校、あとは中高生向けのジュニアプログラムをアイルランドとマルタに加え、イギリスでもやってます。イギリスのチェスター大学というところで夏限定のサマーキャンプみたいな感じ。実は今年からイタリアのヴェネチアでも始めたんですよ、英語のプログラムを。

 

ヴェネチアで英語?

小学校高学年〜高校3年生までを対象にしていて、ヴェネチアに校舎はないけど施設を借りて短期で英語を学ぶプログラムです。

 

確かに、ヴェネチアって日本の文化が浸透してるイメージ。今後留学を考えている人にアドバイスをください。

留学って人生を変えるきっかけになることもあると思うので、ちょっとでも行きたいと思っていたら飛び込んでみるといいんじゃないかな。長い人生の1、2年ぐらいだと思うし、お金と時間があればすっごい難しいことではないと思います。視野も広がって人生を変える良いきっかけになるはず。

 

私はインスピレーションで学校を選びがちですが、正しい学校の選び方ってある?

インスピレーションもありますよね。個人的には、日本人に親切すぎる学校よりも、ある程度ワイルドな学校を選んだ方が楽しいんじゃないかと思います(笑)。例えば日本でたくさん紹介されている学校は日本人率が高かったりします。だからと言って誰も日本人の感覚をわかっていないところへ飛び込むのは不安だと思う。

最近、ダブリンの学校に入学してくる日本人生徒とコミュニケーションを取りすぎるのは逆に生徒のためにならないと思うようになったので、あえてコミュニケーションを取っていないですが、Atlas Language Schoolならいざという時は僕がいますから(笑)。うちの学校は、ヨーロッパや南米人気が高いので日本人だらけにならないのが魅力かも。 

 

「次は違う国で新たに自分の生活を築いていけるかチャレンジしたい!」

 

親友のスペイン人、ALEXを訪ねて、アンダルシアへ行った時。

 

アイルランドでの1日のスケジュールを教えてください。

アイルランドは日本と9時間の時差があるので、起きた時がぎりぎり日本が働いている時間。なので、ミーティングがあるときは早く起きて対応しますが、ないときは8時頃起きて、自宅でデスクワークに集中して、午後から学校へ行きますね。そして5〜6時に帰ってきてご飯を作って……。ほぼフレックスです。だから今は日本に帰国中。日本からでも仕事はできますからね。

 

そうだったんですね、ちなみに今はどんな状態?

実はアイルランドの移住を終わろうとしてるんですよ。

 

えっ、そうなんですか? 詳しく聞きたい!

もちろんアイルランドへ戻ることもできるし、日本からリモートもできるし、マルタにも学校があるのでマルタへ行くという選択肢もあって。ただ、日本からだと時差があって大変なので、ヨーロッパには戻りますが、今はどこの国がいいか考えているところです。

 

それは楽しそう!

40歳を手前に何か新しいことにチャレンジするなら今がいいタイミングだと思うんです。アイルランドもいい国ですが、8年間住んだので次は違う国で新たに自分の生活を築いていけるかチャレンジしたい。今はアイルランドも含めて、マルタ、オランダなんかを視野に入れています。

 

楽しみですね、ヨーロッパへ戻ってきた際は、ぜひイタリアにも寄ってください。

 

【プロフィール】

SHIMPEI TAKASHIMA >>Instagram

京都府出身。立命館アジア太平洋大学卒。在学中1年学校を休学し、世界各国(アジア、オセアニア、南米、ヨーロッパ)をバックパック旅行。日本で一般企業に新卒入社するも「いつかは再び海外へ」という思いが消えず、2014年より念願の海外(アイルランド)移住。趣味は旅行と写真。

 

➖➖MEDIA INFORMATION➖➖

>>Im here magazine

2020年、ニューヨーク、ハワイ、イタリア、それぞれの場所を拠点に生活する3人の女性が立ち上げたウェブマガジン。現地のライフスタイルはもちろん、世界各国へ移住した人たちにフォーカスした「気になるあの人」のパーソナルなライフスタイル情報をインタビューを通して自分たちの目線でお届けしています。

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