息子がいたから、初の海外生活もすごく心強かった
Imhereがお届けする、海外で暮らす気になるあの人。
vol.02は、昨年から息子とシンガポールで暮らし始めたシングルマザーのHiromiさん。
神戸でネイルサロンを経営していた彼女が、シンガポールへ移住した理由とは? ビデオ越しに見るこんがりと日焼けした肌に、エネルギッシュな声。燦々と太陽が照りつけるシンガポールから、子育てをしながら「自分らしさ」を大切に生きる彼女のライフスタイルをお届けします。
シンガポールに住んでどのぐらいですか?
Hiromi(以下H):「ちょうど1年ぐらいです。シンガポールってすっごく小さくて東京の23区ぐらいなんやけど、街全体がきれいで、自然もたくさんあって住みやすいですよ」
やっぱり! シンガポールは住みやすいとよく聞きます。
H:「本当にその通り。日本人は多いし、日系スーパーもたくさんあるし、ドンキだってあります。日本だとディスカウントストアだけど、シンガポールだと普通のスーパーマーケット。しかも、名前が「ドン・キホーテ」じゃなくて、「ドンドンドンキ」っていうんです(笑)。もちろん日本語が通じる病院もあるから私たちみたいな海外初心者にはすごくオススメです。あとは、バスや電車なんかの公共の乗り物も安いから移動しやすいです」
シンガポールで生活するようになったきっかけは?
H:「20代の頃から漠然と海外に住んでみたいな〜と思ってたんですが、そういう気持ちって海外旅行が好きな人には誰にでもあると思うんです。でも、そのうち結婚したり、子供ができたり、できない理由の方がたくさん出てきて、留学ってすごく大変なイメージしかなかったんです。でも、神戸でネイルサロンをやってる時のお客様がすごくインターナショナルな方で、その方の話を聞いているうちに、『私でも行けるんや』と現実味が出てきて」
シンガポールを選んだのは?
H:「始めは、LAも考えたんです。私も英語を勉強したかったし、子供にも英語を学ばせたいと思った時にパッと浮かんだのがアメリカでした。英語といえばアメリカやろっ!みたいな(笑)。でも、できれば日本と行き来がしやすいところが良かったんです。そうなるとアジア圏が現実的で、シンガポールを候補に入れました。移住先の候補をこの2つに絞ってから、実際に街並みを見たり、息子の学校を見学するためにLAとシンガポールの両方へ行ってみたんです。そして、子供のことを考えるとLAでの生活より、シンガポールでの生活の方が実際にイメージできて。あと、息子がシンガポールの学校を気に入ったというのもあります」
なるほど、お子さんと移住することへの不安はなかったですか?
H:「友達から『よく子供と一緒に来たね』と言われるんですけど、私は息子と二人だから来れたと思うし、息子がいるから逆に心強かったです。シンガポールへ行ったら、あんなことしよ、こんなことしよ、ってワクワクすることがいっぱいで。来る前から苦労があると分かっていたら来れなかったかもしれないけど、私は逆になにも分かってなかったから来れたんだと思います。だから、来てから大変なことが多いです(笑)」
お子さんと一緒だと何VISAですか?
H:「息子は今11歳で、こっちの小学校へ通っているんですが、その息子のスチューデントVISAに紐づいてくるロングタームというVISAです。これは学校に通う息子に対して母親と祖母だけに出るVISAで、子供の世話をするために滞在できるんです。だから私はシンガポールで働くことができなくて」
そういうVISAがあるんですね。
H:「そうなんです、ロングタームVISAは1年更新なんで、今ちょうど更新中です。母親がスチューデントVISAを取って来るパターンもありますが、母親が子供の学校へ行かないといけない日も多くて、そうなると自分のスチューデントVISAに必要な学校の出席率が足らなくなってしまうのでロングタームにしたんです」
実際、移住してよかった点は?
H:「シンガポールは多国籍国家だからいろんな宗教や文化に触れる機会が増えたことと、環境問題について子供の口から意見が聞けるようになったことです」
例えばどんな話をしますか?
H:「息子はシンガポールに来てから肉を食べなくなったんです。散歩中にニワトリの親子を見て、『私たちニワトリ食べてるよ』って話をしたら、その日から『動物は食べ物じゃなくて、お友達っていう感覚だから食べたくない』と言い出して、それをきっかけに色々調べたり、動画を見たりして、そこから畜産業や地球温暖化について学ぶことができて、少しでも肉を食べる習慣を減らすと環境問題に貢献しているということがわかったりして。でも、完全に食べないというのは難しいから、例えば週に3回食べていたのを週1回に減らすとか、親子でそういう話ができるようになりました。あと、エコバッグを持つようにするとか。シンガポールに来たからじゃないかもしれないけど、環境問題について子供と色々話すきっかけができたのが一番良かったです」
住み始めて変わったことは?
H:「基本的には何も変わってないです。ただ、子育てでは、今まで以上に個性を大事にするようになりました。日本にいるときは、息子にはこういう男の子に育って欲しいという理想があったんですが、シンガポールで色々な人に出会ったのがきっかけで、私自身が子供に対して個性をもっと生かして自主性を育ませるようになった気がします。最低限やるべきことはやらせるけど、必要以上に押し付けないようにしています」
きっと、日本の学校とは環境がすごく違いますよね。
H:「子供の学校へ行くと、日本人は自己肯定感の低さに気付かされました。もちろん日本人に自尊心があるのはいいことですが、これからの子供には、自己肯定感を高く持って欲しい。自分はこんなことができますと主張することが大事だと思いました。息子のクラスメイトや母親を見ていて、こんなふうに自己肯定感を高めていくんだ、と思うことがたくさんあってすごく勉強になりました。日本にいるときは、『これはダメ、あれはダメ、こんなことしたら恥ずかしい』と言って、知らない間に子供に我慢させてることがあったのかもしれないと。自由な発想で何かができるようになったり、褒められて自信に繋がる方がずっといいことだと思いました。例えば、靴下を左右逆にはいていても、靴下として機能していたら問題ないのに、『恥ずかしいからやめなさい』と注意したり。自分の中でこびりついている勝手な固定概念で子供を叱ってしまった時に感じます。シンガポールに来て1年が経って、自分では気づくことはあっても、それを子供に対して正すまではまだできてなくて。意識はしているけど難しいですね」
今後シンガポールで挑戦したいことは?
H:「去年シンガポールで会社を作ったんです。でも今のVISAだと働けないので、今はワークVISAを申請中。申請が通ったらこっちで美容の仕事をするのが目標です。というのも、もう一度自分でお客様を接客したいし、日本の良い美容商材をシンガポールで紹介したくて。他にもできることをやっていきたいと思います」
会社を作ったり、ワークVISAを申請したり、すごく大変そう。
H:「すっごく大変でした。こんな時期なので、ワークVISAの取得も難しいと言われているので、どうなるかわかんないですけど」
シンガポールでお気に入りの場所は?
H:「今日も行って来たんですが、ボタニックガーデンという植物園があって、シンガポールで唯一の世界遺産なんです。東京ドーム13個分ぐらいの広さで、家からも歩いていけるからアクセスも良くて。ピクニックしたり、芝生の上に寝そべったり。自然がいっぱいだからそこにいるだけで気持ちいい場所です。チェコから来た友達とシンガポールで再会した時にオススメしたら、「えっ、シンガポールの世界遺産って1つだけなの?」ってびっくりされたんですが、1つだけなんですよ(笑)」
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PROFILE
Hiromi Hirata
神戸でネイリスト、ヘアデザイナーとして経験を積み、その後32歳で独立し、友人と共同経営で神戸にサロンをオープン。結婚、出産、離婚を経験し、現在はシングルマザー。2020年、愛息子とシンガポールへ移住。現在はシンガポールで会社を作りVISAを取得中。
【MEDIA INFORMATION】
>>Im here magazine
2020年、ニューヨーク、ハワイ、イタリア、それぞれの場所を拠点に生活する3人の女性が立ち上げたウェブマガジン。現地のライフスタイルはもちろん、世界各国へ移住した人たちにフォーカスした「気になるあの人」のパーソナルなライフスタイル情報をインタビューを通して自分たちの目線でお届けしています。